年金を1年繰り下げると、貰える年金額が1年で8.4%増える。
だから、65歳から10年繰り下げると84%増、つまり月10万円の年金ならば、18万4千円になる。
年8.4%の利息など、今の銀行では到底望めないので、結構有利と思うけれど、実はこの間の年金は貰えないので、その分まで貰う予定の年金額に到達するのに、凡そ12年かかる。
月10万円の年金を65歳から22年間で2640万円。
月18万4千円の年金が75歳から12年間で約2650万円。
この期間は殆ど利息は付かない(利息と言っていい物かはわからないが)
75歳から12年というと、87歳である。
ほぼ平均寿命である。
ここまで生きられない場合は、利息どころか欠損になる。
だったら、どうせ繰り下げる予定の月10万円の10年間分の年金1200万円を、別途利回りの良い投資に回す方が利口では無いか。
勿論、95歳、100歳まで生きる事が出来たら、それは有利であろうが、なかなか寿命はわからない。
つまり、年8.4%もの高利率で増えるのではなく、年8.4%づつ返還していくのだという事を忘れてはいけない。
その上、母数の年金額が下がっていく・・
75歳の男性生存率72.1%、87歳50%であり、乱暴に言えば、繰り下げた人の10人に2人は元を取れずに死んでいくことになる。
出来るだけ年金を繰り下げて、将来の年金額を増やそうなんて思っている、私の様な人間は、眉に唾して考えなくてはいけない。
その上、貯金には今の所、税金はかからないが、年金には控除以外の収入に対して税金がかかる。
つまり、年金額120万円(月10万円)だと、110万円の控除後の10万円に対して15%の所得税と市県民税で15,000円がかかる。
しかし、年金2,208,000円(月184,000円)だと、控除後の110,8000円に対し、166,200円の税金がかかる。
ただ年金を置いておく(繰り下げておく)だけで、12年間で1,814,400円の税金が余計にかかることになる。
その上、それに応じて社会保険料も上がる・・。
勿論、年金は預金とは違う。年金は保険だということは知っているけれど、繰り下げはどうしても毎月の年金額を積み立てているような気がしてしまう。
結論としては、繰り下げても生活できるならば、繰り下げずにそれを貯金しておく方が有利だと言える。
そしてそれを毎月84,000円づつ下ろして使う。
勿論、90や100まで生きる意欲があるなら別だけれど。
私は持っていれば使う人間なので、持たない方が無難かもしれない。
と自分を慰める。
最後までお読みいただきありがとうございました。