長野県信濃美術館東山魁夷館に行ってきました。
◇ 5月31日から閉館になります。
谷口吉生設計の美術館です。谷口吉生氏は高名な建築家谷口吉郎氏のご子息であった。外観はコルビジェを思わせる佇まいで、外から写真を撮っている人があちこちに見られた。なかなか調和のとれた良い建築だが、エレベーターが備えられていなかったりして、設備面で古くなり使いにくくなってきたのかもしれない。
◇ 東山魁夷と長野県の関係
東山魁夷は横浜の生まれであるが、長野県に一時疎開したこともあり、長野県の山の景色をモチーフとして描かれたものも多くみられる。お墓は善光寺に作られている。
◇ 本物の持つ圧倒的な質感
大作が多く保管されており、今回はしばらく閉館となるという事もあり、展示作品は多い。最近は図集なども良いものが多く出されているが、やはり本物の圧倒的な質感は、しばらくしてからじわじわと体に浸み込んでくる。
彼の画は美しさだけでなく、祈りを感じる。そして不思議な事に、自分もやはり、美しくひたむきに祈りながら生きたいという望みを抱かせた。
絶筆が展示されていた。今まで良く出てきた青い世界。夜の青いそら、濃い青の木立ち、前に湖、そこに移る木々の姿。空には輝く星ひとつ。
土曜日に山菜を買いに小谷村に向かう途中、中綱湖湖畔を走ると、湖に周りの木々が映っていた。ここは春は桜が湖に映る。東山魁夷の世界だと思って走った。
青い世界は私にはなじみ深いものだ。まだ幼稚園くらいのことか、雪がしんしんと降った後、良く晴れた夜に、お銭湯の帰り道によく見た景色だ。真っ白な北アルプス、空は夜なのに、濃紺だ。青い世界だった。