華寿過ぎて・・・これからの準備

華寿(70歳)を過ぎた独身女性、子供の無い不安、生活苦、節約、貯蓄など、時々生活の楽しみも書いています。

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最後の時、枕辺で話す言葉

それは楽しかった思い出でありたい。

 

私の両親は、臨終のとき、どちらも一人であの世に旅立ってしまった。

突然病院から、お亡くなりになりましたと連絡が入った。

慌てて会いに行った時には、もう冷たくなっていた。

今で言えば急性心不全だろうか。

 

叔父の時は、危篤との連絡で親族が駆け付けたものの、今晩は大丈夫そうだという事で、私だけが付き添って皆は一時帰宅した。

その夜、急変してしまった。

その時、看護師さんが「話しかけていてあげてください」と言われた。

親族が駆け付けるまで、私は意識のない叔父の枕もとで手をさすりながら、叔父に遊んでもらった思い出、楽しかった思い出、感謝の気持ちを話し続けた。

その言葉は、果たして叔父に届いていたかわからないけど。

 

これから先、私が誰かを看取るとか、看病するとかがあるとしたら、多分それは、一緒に暮らしている姉だろう。

そんなことを思っている時「かなたの雲」を読んだ。

かなたの雲~日本橋牡丹堂 菓子ばなし(七)~ (光文社文庫)

菓子職人の伊佐は、自分を置き去りにした母親の看病をしながら、母親の枕辺で、父親と一緒の家族3人が楽しかった頃の話をする。

それまで、ある日突然かどわかされ、それから過ごしてきた今までの恐ろしい夢で、うなされて眠れなかった母親が、うっすらと微笑みながら眠るようになる。

楽しかった頃の夢を見ているのだろう。

それが伊佐と母親の最後の暮らしとなった。

 

それを読みながら、姉が病床に就くことがあれば、楽しかった話を枕辺でしたいと思った。

そのためにも、今、ちょっと無理をしてでも楽しい思い出を作っておきたい。

 

庭の芍薬が咲き始めた。

これもいつか、あの花は綺麗だったねと話すのだろうか。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

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