原作が有ると知って、キンドルで買ってしまう。
久しぶりに読みごたえがある本だった。
市進学院がモデルとなっていると言われる、戦後の学校教育と塾の歴史を含む家族の物語りです。
ドラマでは大島吾郎役の高橋一生が魅力的です。
ちょっと女の人にフラフラする軟弱なキャラクターがピッタリ(笑い)
吾郎の孫の一郎も、いつか塾に通えない子供達を対象とする勉強会を始める。
そこに直哉がいた。
日記には「夏休みになった。僕は家にいた。お母さんは働いていた」と、ある事しか書けない少年だった。
ちょっと、そこで笑う。「○○読んだ。面白かった」しか書けない私と同じじゃん。
私も直哉だ。
人生は月が満ちても満たされない、常に何かが欠けている「みかづき」で有るかもしれない。
吾郎の妻、千明は言う。
教育も自分と同様、そのようなものであるかもしれない。欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない。
満ちようと人生を駆け抜けた千明は烈しい女性であった。
しかし、千明ほどではなくとも、誰もが心に「みかづき」を抱きながら、満たされぬ思いに吐息をつきながら生きているのではないだろうか。
そして、満たされるためには、何が足されれば良いのかもわからずに。
そう思いながら、周りを見ると、周囲の人間が「みかづき」に見えてくる。
同じ満たされぬ思いを、満ちようという渇望を抱きながら生きている同志である。
そう、ほんのちょっぴり、私も生きることに頑張っているけれど、「貴女もなのね・・」という感情が湧く。
一息、溜息をそっとついて、空の「みかづき」を見上げ、命がある限り歩くしかないと思う。