樹木希林さんの訃報が届く。
個性的な女優さんであった。
ちゃんとした服装をすると、流石女優という存在感があるのだが、その辺の老女の役がうまかった。
あの年代は美人女優が多いのだが、それとは一線を画した風格があった。
「悪人」で演じた老女なども、その辺にいくらでも見られる一人である。
まぁ、そこそこでも、洋服と気の持ち方で美人(?)になれるのか、美人がその辺の老女を演じているのか?なかなかわからない。
姉がチビ娘に葡萄をあなた(私)の名前で送ってやれという。
今年はチビ娘が葡萄を送れと言わない・・と心配している。
それで、家の葡萄を買いに行ったついでに、チビ娘にも送る。
そうすると、届いたと電話が来ないかとうるさい。
そして、電話が来ると、私(姉)は電話に出ない!と拗ねている。
誠に面倒くさい。
チビ娘からは電話で、「この葡萄、皮も食べられるの?皮を剥くのは面倒だ」と、生意気な事を言って来た。
ワハハ・・生意気な・・と思うのだが、電話が来ると嬉しい。
子供の声を聞くと、心が浮き立つ。
女優でもなければ、数多くの人生を体験するという事は不可能だけれど、本を読むという事も、一種の疑似体験かもしれない。
この本は、幼児性愛の父親から娘を救うため、偽装失踪を企てた親子の話なんだけれど、花の咲く庭で、母親は小さな娘を抱きながら、「いつでも、どんな時でもあなた(娘)をママが助けてあげる」と語る。
いろいろと考えさせられる作品である。
大金持ちの家ってこんな風なの・・という思い。
専属の庭師とハウスキーパーのいる生活。
母から娘、娘から孫へと知らず知らずに受け継がれていた、「花は喋る・・」という感覚。
友情と信頼は、立場や財力とは別に成り立つということ。
読みだしたら夢中になってしまいました。
青山文平の「約定」
では、「乳房」という短編が面白かった。
主人公は凄い魅力的な女性で、それ故に、男性から注視され、それが負い目になっている。
養父の勧めで結婚するけれど、相手は無難で倹しくて面白みのない男性。
ところが、実は・・、夫の正体は・・
中身は変わらないのだけれども、見る目(妻の)によって、まるで変ってしまう正体。
それも不思議といえば不思議。